消化器内科

膵癌について

膵臓の働きは消化酵素を産生し「膵管」を通じて十二指腸に運ぶ役割と、ホルモン産生機能があります (有名なのは血糖を下げるインスリンホルモンです)。膵癌は「膵管」から発生しますが、腹痛や背部痛、黄疸などの症状は進行するまではほとんどでないため「沈黙の臓器」と呼ばれています。早期の発見が難しいため、膵癌はすべての癌のなかで最も予後不良な癌となっています。

早期発見のkey wordは「膵囊胞」、「膵管拡張」と「膵癌の危険因子」

膵癌は「膵管」から発生するため、非常に早期の膵癌であればこの膵管に変化が生じます。膵管の変化は具体的には「膵囊胞」や「膵管拡張」として出現しますが,これまでこういった膵管の変化に注目した、継続的な検査はあまりされてきませんでした。しかしながら、「膵囊胞」や「膵管拡張」がある患者さんを積極的に検査していくことで膵癌の早期診断率の向上と、膵癌の予後が改善するということが広島県のJA尾道総合病院より報告されました。

「膵囊胞」や「膵管拡張」は人間ドックや外来での腹部超音波検査で指摘されることが多いですので、該当される方は次のステップの検査をすすめます。腹部超音波検査を受けたことがない方で、大量飲酒歴、喫煙歴、肥満、糖尿病、慢性膵炎、膵癌の家族歴といった膵癌の危険因子を2つ以上有する方は一度腹部超音波検査を受けることをすすめます。

次のステップはどんな検査?

「膵囊胞」や「膵管拡張」が指摘された方に対してはMRIや超音波内視鏡 (EUS) 検査を行います。膵臓は胃や十二指腸に囲まれているため、胃や十二指腸に挿入したスコープの先端から超音波を出して行うEUSという検査では、非常に詳しく膵臓が観察できます。MRIもEUSも日帰りでできる検査です。

当院での膵癌早期診断プロジェクトの現状

敬愛会中頭病院、ちばなクリニックでは2021年より膵癌早期診断プロジェクトとして膵癌の早期診断、早期治療に全科をあげて取り組んでいます。プロジェクト開始後には膵癌の早期診断例が増加しています。地域のクリニックとの連携が重要であり、近隣のクリニックへの情報提供・勉強会も定期的に開催しています (直近ではすながわ内科クリニックさん (うるま市江洲) で行っています)。

医師紹介

森 英輝
森 英輝
専門
消化器内科
一般内科
資格

日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本肝臓学会専門医
日本膵臓学会指導医
日本胆道学会指導医