泌尿器科

ロボット治療

前立腺がんに対するRARP
(ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺全摘除術)

当院では、限局性前立腺がんに対する手術はほぼロボット手術で行っています。手術は、下腹部に小さな穴 (ポート) を開け、腹部に炭酸ガスを注入してふくらませて行います。ポートからカメラや手術用器具を挿入し、手術用ロボットを操作して手術を行います。精密な画像で手術野をみながら、非常に精密な操作で手術を行うことができます。患者様にとっては、「体にやさしい手術 (低侵襲手術)」といえます。開腹手術に比べてやや手術時間が長くなることもありますが、手術後の出血や疼痛は少なく、回復が早いという利点があります。開腹手術と比べても制がん効果は同等とされています。

対象病期

基本的には、前立腺内にがんが限局している病期 (T1~T2) に対して行います。

麻酔

全身麻酔で行います。

体位

頭側を約25度低くした仰臥位 (仰向け) で行います。

ポート

通常6カ所。

術式

がんの存在する前立腺と精嚢腺を一塊として摘除します。膀胱と尿道を縫い合わせて手術前と同じように尿道から排尿できるようにします。高リスク群の場合には骨盤内リンパ節郭清施術を行うこともあります。

合併症

術中出血 (実際には少なく、輸血を必要とすることはほとんどありません) 、尿失禁 (発症頻度は多くありません) 、勃起不全、腸管損傷 (発症頻度はまれ、損傷が確認された場合には外科的に修復手術が必要になります) 、コンパートメント症候群 (発症頻度はまれ、下腿の圧迫によって循環障害・神経障害を発症します、外科的処置が必要になります) など。

その他

切除した前立腺組織は病理検査で詳しくしらべます。組織検査の結果で、切除断端陽性 (腫瘍残存の可能性) 、リンパ節転移陽性などの結果が判明した場合には、手術後に追加治療 (放射線療法、ホルモン療法など) を行うことがあります。

周術期スケジュール (入院期間は9日間)

手術前日 入院
手術日 手術 (手術終了時に尿道カテーテルを留置します) 、術後は集中治療室に入室、絶食
手術後1日目 朝から飲水開始、昼から食事開始、離床してリハビリを開始
手術後2~3日目 ドレーン (腹部から排液するための管) 抜去
手術後4日目 骨盤底筋体操開始 (尿道カテーテル抜去後のリハビリ)
手術後5日目 尿道カテーテル抜去、排尿状態の観察
手術後7日目 退院

腎細胞がんに対するRAPN
(ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術)

腫瘍とその周辺の正常腎組織のみを切除し、それ以外の正常な腎組織を温存する手術法です。比較的小さな腎細胞がんでは標準的な治療法となっています。利点としては、腎機能が温存できること、手術中の出血も少なく、手術後の痛みが少ないこと、などがあります。

対象病期

T1 (腫瘍径が4~7cm大で転移がない)

麻酔

全身麻酔で行います。

体位

患側を上にした側臥位 (横向き) で行います。

ポート

右側では7カ所、左側では6カ所。

術式

患側の腎臓を栄養する血管 (腎動脈、腫瘍の状態によっては腎動脈にくわえて腎静脈も) を露出し、腫瘍の存在する位置を超音波検査で正確に描出します。血管を遮断 (腎臓に流れる血液を一時的に止める) した後、腫瘍を切除します。糸を用いた縫合および電気メスなどで切除面 (腎実質) からの出血を止めます。血管遮断を解除して腎臓に血液が流れるようにします。

合併症

出血、尿瘻 (にょうろう;腎臓から尿が漏れる状態)、仮性動脈瘤など。

その他

切除した腫瘍は病理検査で詳しくしらべます。術前の画像診断で腎細胞がんと診断されても、病理検査で良性腫瘍 (腎血管筋脂肪腫、オンコサイトーマなど) と判明することがあります。

周術期スケジュール (入院期間は10日間)

手術前日 入院
手術日 手術 (手術終了時に尿道カテーテルを留置します) 、術後は集中治療室に入室、絶食
手術後1日目 朝から飲水開始、昼から食事開始、離床してリハビリを開始
手術後1~3日目 尿道カテーテル抜去
手術後3~4日目 ドレーン (腹部から排液するための管) 抜去
手術後7~8日目 ベッド上安静 (後出血の可能性があるため安静が必要です)
手術後8日目 退院