- 集計対象 )
- 当院にて2022年1月1日から12月31日の間に初発乳癌における初回手術をした症例
- 集計時期 )
- 2023年3月
- 集計定義 )
-
- 全てのデータは一腫瘍につき一症例として集計し、両側乳癌の同時手術の場合、二症例として集計
- 再発・転移の症例は含めず、初発乳がんの手術症例のみを対象とし初診時よりステージⅣの症例に対する姑息的な手術を施行した症例も集計
〇各グラフをクリックすると拡大表示します
初発乳がん手術症例数推移
当院で行った初発の乳がんに対する初回の手術を集計したグラフです。
2007年から2022年までの16年間で計2555例の手術を行っており、近年(2016~2022年)では平均193例/年の手術件数となっています。
今後も患者さんそれぞれに適した治療を提供できるように邁進してまいります。
患者年代分布 (前年比)
2022年に手術した患者さんの年代分布を、前年と比較しています。50代の患者さんの増加が見られました。
UICC・術前ステージ割合
乳がん手術を行った症例における、術前に決定されたステージ (病期) を手術施行年別に表したグラフです。
乳がんの進行具合や拡がりを表すステージは、日本乳癌学会で定める乳癌取り扱い規約による分類方法と、国際対がん連合(UICC)が刊行する分類を参考に分類する方法のどちらかを使用して医師が決定します。当該グラフはUICCによる分類で表しています。
通常、乳がんと診断されたらステージが決定されますが、「不明」となっているものは術前の検査で乳がんかどうかの判断が不能であったため、診断と治療を目的として先に手術を行った結果、乳がんだったという症例を表しています。
サブタイプ割合 手術施行年別推移
当院で乳がんの手術をした患者さんにおける、それぞれの乳がんのサブタイプを、手術施行年ごとに集計しその割合の推移を表したグラフです。
サブタイプはER(エストロゲン受容体),PgR(プロゲステロン受容体),HER2,Ki67の発現状況に応じて乳癌を分類したもので、予後と関連することがわかってきています。 1)
治療開始前の検査結果より、医師がそれぞれの患者さんの乳癌のサブタイプを分類し、その分類に応じて薬物治療の方針を決定します。 ここでは、術前に上皮内癌と診断された症例は省いて集計しています。それぞれの分類の定義については、表①をご覧ください。
1)St.Gallen会議にて(2011)
術前薬物療法施行割合 (年別)
当院で乳がんの手術を行った症例における、術前の薬物療法施行状況の割合を表したグラフです。乳がんと診断されたときから、手術を行うまでに、薬物療法(内分泌療法、化学療法、分子標的薬など)による治療を先に行う場合があります。2022年は術前に何かしらの薬物治療を行った症例が例年と比較して減少傾向でした。これはOncotype Dxが普及したことにより、術後に化学療法の必要性の有無について判断することが多くなったことが要因と思われます。
術前化学療法後の組織学的治療効果判定 (年別)
当院で乳がんの手術を行った症例のうち、術前に化学療法あるいは分子標的薬治療を行った症例における、組織学的治療効果判定の分類別割合を手術施行年別に表したグラフです。組織学的治療効果判定は、術前に行った薬物療法がどの程度がん細胞に対して効いたかを表す指標の一つで、手術で切除した組織より、病理医が判定します。
リンパ節郭清範囲 (年別)
術前の診断でリンパ節に転移がないと診断された患者さんへ施行するセンチネルリンパ節生検(Sentinel Node Biopsy : SNB)と、術前診断でリンパ節に転移があると診断された患者さんに施行する腋窩リンパ節郭清(Axillary lymph node dissection : Ax)に分けられます。
SNBは術中に迅速病理検査を行い、その検体から癌細胞が検出された場合、Axまで施行します(SNB→Ax)。しかし近年ではZ001試験という研究結果からセンチネルリンパ節に転移を認めても (2個まで) 術後に放射線治療を行う場合にはAxを省略しても予後は変わらないというデータに基づいて、乳房部分切除術などの術後に放射線治療を行う予定の方はAxを省略することが多くなりました。また、サンプリングとして試験的に数個のリンパ節を採取する方法や、患者さんの全身状態などにより乳房内の癌細胞のみ摘出し、Axは省略することもあります。
初発乳がん術式分類 (年別)
当院で行った乳がん手術症例の件数を、術式別に分けて、実施した手術年ごとに表したグラフです。当院で例年半数以上が乳房部分切除(Bp・Bq)で、次いで乳房切除術 (Bt) 、乳頭温存乳房切除術 (NSM) 、皮膚温存乳房切除術 (SSM)の順になっています。
乳房同時再建術件数推移 (年別)
当院における乳がん摘出と同時に施行した乳房再建術の件数推移です。当院ではオンコプラスティックサージャリー (癌の根治性を保ちながら(=オンコ)乳房の整容性を維持する (=プラスティックサージャリー) ) に積極的に取り組んでおり、乳房切除を行う患者さんのみならず、乳房部分切除で乳房の変形を来たしうる患者さんなどに対して形成外科と密に連携と取りながら乳房同時再建術を行っています。2014年6月以降、インプラント (人工乳房) を使用した乳房再建術に保険が適用され、乳がん摘出術と同時にティッシュー・エキスパンダー (組織拡張器/Tissue Expander) を挿入して皮膚を十分に伸ばした後に、2回目の手術でインプラントと入れ替えを行う術式による再建術の増加がみられました。2016年以降、乳がんの摘出と同時にインプラントを挿入する再建術もみられます。また、患者さん自身の広背筋 (LD flap) や大網 (Omental flap) を使用した再建術も積極的に行っています。2018年からは側胸部の脂肪弁を乳房に移動させて再建を行う側胸部穿通枝皮弁も行うようになりました。再建術に関しては、乳がんの治療を考慮しながら患者さんと医師などの相談により決定されますので、施行年により件数のばらつきがみられます。
日本オンコプラスティックサージャリー学会
乳房再建について、下記の「日本オンコプラスティックサージャリー学会」により詳細について記載されていますので、是非ご覧ください。
治療実績データに関するお問い合わせ先
Emailにてお受けいたします。
【中頭病院 診療支援室ドクターズアシスタント】cancer_1069keiaikai@www.nakagami.or.jp.or.jp