■胸壁腫瘍(きょうへきしゅよう)とは■
原発性胸壁腫瘍は骨性胸郭発生(固い骨の部分)のものと軟部組織発生(柔らかな部分)のものに分類されます。それぞれに、良性腫瘍と悪性腫瘍が見られます。わが国では良性腫瘍が多く報告されています。
【胸壁腫瘍の分類】
骨性胸郭発生 | 軟部組織発生 | |
---|---|---|
良 性 |
繊維性骨異形成 軟骨腫 骨軟骨腫 好酸球性肉芽腫 |
脂肪腫 神経原性腫瘍 類腱腫(デスモイド) |
悪 性 |
軟骨肉腫 骨肉腫 骨髄腫 Ewing肉腫 |
悪性繊維性組織球腫(MFH) 繊維肉腫 脂肪肉腫 横紋筋肉腫 |
呼吸器外科の要点と盲点:文光堂より引用
■胸壁腫瘍の診断と治療■
① 診断は縦隔腫瘍と同様に胸部X線、胸部CT、胸部MRI、血管造影などが行われるが、画像のみでは良・悪性の鑑別が困難なものが多く、確定診断のためには生検か切除が必要になります。
② 胸壁の良性腫瘍は体表から切除できる場合と体内から胸腔鏡を用いて切除を行うことがあります。
③ 胸壁の悪性腫瘍は、局所の再発の頻度が高いため、広範囲な切除が行われることがあります。
【症例4】左胸壁に発生した肋間神経由来の神経鞘腫縦隔
【症例5】背部に発生した胸壁脂肪腫(良性)
【症例6】開胸・胸腔鏡を要しない症例 肋間神経由来の胸壁神経鞘腫(良性)
【症例7】口腔鏡による手術 肋間神経由来の胸腔に突出する胸壁神経鞘腫(良性)
中頭病院
呼吸器外科部長 大田守雄
呼吸器外科部長 大田守雄