呼吸器外科
2010/07/01

【わかば掲載記事】特集 呼吸器外科

■はじめに

呼吸器外科とは肺および胸壁などの疾患に対して手術を行う科です。以前は心臓外科と呼吸器外科をあわせて胸部外科といわれていましたが、現在では肺および縦隔、胸壁を扱う呼吸器外科と心臓、大動脈を扱う心臓血管外科に分かれています。
中頭病院には2008年4月から呼吸器外科指導医(大田守雄呼吸器外科部長)が赴任し呼吸器外科が誕生しました。当院では肺癌を中心に患者さんにやさしい胸腔鏡下手術を積極的に行っています。2009年1月から2009年12月までの呼吸器外科手術症例は130例に達しました。わかば57号より、呼吸器外科について順次、わかりやすく解説していきたいと思います。

■呼吸器外科の特徴

近年、肺がんで治療を必要とする患者さんが増え続けています。とくに肺がんのみの患者さんは少なく、ほとんどの患者さんが肺気腫、高血圧症、糖尿病、狭心症、脳梗塞など種々の合併症を持っています。合併症を有する患者さんの術後管理がとても重要となります。がん治療を行うには他科との連携が不可欠であり、その点において総合病院である当院の力が発揮できます。さらに、当科は胸腔鏡下手術を得意としており、小さな傷で開胸と同等に手術が可能であり、術後在院日数は短くなっています。

Full Hi-Vision systemによる胸腔鏡下手術

Full Hi-Vision systemによる胸腔鏡下手術

■呼吸器外科における年間手術症例数(2009.01~2009.11.25)

①原発性肺癌40例、②自然気胸23例、③手掌多汗症24例、④膿胸1例、⑤縦隔腫瘍5例、⑥重症筋無力症1例、⑦転移性肺腫瘍7例、⑧肺のう胞5例、⑨AVM(肺動静脈ろう)4例などで増加しています。(2009.11.25現在)
2008年度の平均在院日数は6.9日(術後平均在院日数は5.9日)でした。

■呼吸器外科で扱う疾患

肺のイメージ

肺のイメージ

① 肺がん
② 自然気胸
③ 巨大肺嚢胞
④ 縦隔腫瘍
⑤ 肺良性疾患
⑥ 転移性肺腫瘍
⑦ 胸壁腫瘍
⑧ 急性膿胸、慢性膿胸
⑨ 重症筋無力症
⑩ 手掌多汗症
⑪ 乳糜胸(にゅうびきょう)
⑫ 心タンポナーデ(心膜開窓術)
⑬ 胸部外傷(外傷性気胸、血胸、挫傷、肺血管損傷)
⑭ 横隔膜ヘルニア
⑮ その他

★今回より呼吸器外科の疾患に対して解説していく予定で、自然気胸から始まります。