形成外科
2014/12/17

形成外科シリーズ ⑫ 腋臭症(えきしゅうしょう)

■腋臭症(えきしゅうしょう)とは■


腋臭症とは、一般的には「わきが」と呼ばれています。
脇毛周辺のアポクリン汗腺という分泌腺から、においを出す物質が多く分泌され、日常生活に支障が生じる状態です。汗の量が多い多汗症とは区別されています。

皮膚の構造とアポクリン汗腺

皮膚の構造とアポクリン汗腺

■治療■


腋臭症である場合には、手術でアポクリン汗腺の数を減らす治療を検討します。当院では、健康保険が適応される「剪除去」という手術をおこなっています。
皮膚や汗、衣服に関する雑菌が脇のにおいの主な原因の場合、頻繁な衣服の交換・制汗剤・制臭剤・抗菌剤などの使用、ライフスタイルの見直しなどをお勧めしています。また、多汗症が疑われる場合も、ほかの治療をお勧めしています。

■剪除去(せんじょほう)■


剪除去は、3~4㎝ほど脇の皮膚を切開し、手術中に実際にアポクリン汗腺を確認しながらこれを切除する方法です。所要時間は2時間弱で、局所麻酔での処置が可能で、とても確実な方法ですが、皮膚の下を剥離する必要があるため、そのスペースに出血が溜ってしまうと、脇の皮膚の血流が悪くなり、皮膚が壊死してしまう危険性があります。そのため、術後は、脇の皮膚に拳ほどの大きさのガーゼを固定して圧迫します。
治療は日帰り通院、入院どちらにも対応しています。

 

ガーゼによる脇の圧迫固定

ガーゼによる脇の圧迫固定

 

テープ固定後

テープ固定後

■その他のご注意■


剪除去の術後は、脇毛は薄くなりますが、完全にはなくなりません。また、汗の分泌量も一時的には減少しますが、徐々に元に戻る傾向があります。
思春期は特に、アポクリン汗腺の分泌がホルモンの影響を受けやすいため、手術で減少したにおいがまた増えたり、逆に手術しなくても自然に治まることもあり得ます。