チーム医療で、がんと戦う
集学的がん治療
がんの治療法として、主に外科治療法 (手術)・放射線治療法・化学療法 (薬物療法) などがあります。これらを単独で行うのではなく、より高い治療効果が得られるようがんの種類や進行度に応じてさまざまな治療法を組み合わせる治療を集学的がん治療といいます。
中頭病院では、患者さん一人一人に最適な治療法を検討しチーム医療で治療にあたります。
集学的治療のための
キャンサーボード
キャンサーボードとは、がん患者さん一人ひとりに適した治療方針を検討するため、主治医だけでなく内科・外科・放射線科・腫瘍内科など各専門分野の医師や、リハビリ、歯科衛生士、管理栄養士、ケースワーカーなど多職種で行うカンファレンスです。痛みのコントロールや心理的ケアのほか、経済的問題など患者さんのご事情に配慮した治療方針の決定には当該診療科だけでなく各専門分野が多角的な視点で包括的に討議する必要があります。当院では、領域 (頭頸部・乳腺・呼吸器・泌尿器) ごとのキャンサーボードを定期的に実施しています。
外科治療の最先端
手術支援ロボット
da Vinci Xi (ダヴィンチ)
外科治療 (手術) には、手術する部位を直接目で見て行う方法 (開腹手術や開胸手術など) や、手術する部位を腹腔鏡や胸腔鏡で見ながら行う方法 (腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術、ロボット支援下手術など) があります。
2018年8月より当院では身体への負担が少ない最先端の外科治療、ロボット支援下手術を開始しました。
ロボット支援下手術で使用するダヴィンチは、高画質な3D映像で緻密な組織構造を鮮明に見ることができ、またロボットアームに取り付けた鉗子は、人の手首より大きな可動域で繊細な手術を行うことができます。
数カ所の切開部から内視鏡や器具を挿入、傷口が小さく出血量も少ないため比較的、術後の回復が早く”身体に優しい手術”といえます。
ロボット支援下手術対応診療科
放射線治療法
放射線治療は、がんの根治療法の一つとして、世界的に広く用いられている治療法です。当院の放射線治療は高エネルギーのX線や電子線を使用してがんを小さくし治療する方法です。放射線は目には見えず体にあたっても何も感じませんが、体の表面や奥にあるがんを治療することができます。(照射に痛みは伴いません)
また、手術では大きな傷あとが残り体の外見や機能が失われたりする場合でも、放射線によって障害を最小限に抑えて治療することが可能です。
治療の流れ 放射線治療医の診察後、治療に必要な計画CTを撮影し治療計画を立てます。放射線を照射する範囲や量は、放射線治療法を行う目的、病巣のある場所、病変の広さなどによって選択されます。
治療は月曜日から金曜日まで毎日決められた回数行います。個人差はありますが、1回の治療時間は5分〜15分程度で、多くの場合外来通院での治療が可能です。
化学療法
注射薬や内服薬を用いて体内のがん細胞を攻撃し、がんを小さくしたり増殖を抑える治療です。抗がん剤や分子標的治療薬を使って、下記を目的に病気の段階や体の状態に応じて行います。
- 手術の前にがんを小さくする
- 手術やほかの治療のあとにその効果を補う
- 根治目的の手術が困難ながんや再発に対して進行を抑える
当院では安心・安全な化学療法を推進するため、下記の取り組みを行っています。
- 化学療法の治療を受けたあと、体調に変化が生じた場合は医師の診察やお電話での緊急相談を24時間対応します。また緊急時に当該患者さんが入院できる体制を確保しています。
- 化学療法に使用する薬剤は、当院の委員会で審査、承認されたものを使用しています。当該委員会は化学療法に携わる医師、看護師、薬剤師などの職種で構成され毎月開催しています。
- 患者さんと患者さんを雇用する事業者が共同して作成した就労状況報告書などの提出があった場合は、仕事と療養の両立に必要な情報を提供します。また勤務環境の変化を踏まえ、療養上必要な指導を行います。
化学療法センターでは下記のチームで化学療法を受ける患者さんをサポートしています。
- 医師・看護師 (がん化学療法看護認定看護師含む)
- 薬剤師 (がん薬物療法認定薬剤師含む)
- 医療ソーシャルワーカー・管理栄養士・歯科衛生士・臨床心理士
緩和ケア
命を脅かす病気にかかっている患者さん・ご家族は心や体の苦しさや辛さなど様々な問題に直面されます。緩和ケアはそういった苦痛や問題を和らげ、その人らしさを大切にする考え方です。
また、緩和ケアは病気の終末期だけを意味するものでは無く、病気が診断された時から治療中も必要に応じて行われるものです。「苦しさ・辛さを和らげる」という緩和ケアの考え方を、診断して間もない時期から取り入れることで、あなたらしい日々の生活を送ることができます。
中頭病院では、患者さんやご家族の苦しさ・辛さを緩和し、安心して生活できるよう、医師・看護師・薬剤師・臨床心理士・医療ソーシャルワーカー・リハビリセラピスト・管理栄養士と、多職種で構成した緩和ケアチームがサポートします。
がんサロン「なごみ」
仲間同士の対話を通して気分転換や気晴らし、安らぐための空間を提供しています。
お仕事のこと、食事のこと、お薬のこと、お金のこと、どんなことでも構いません。ひとりで悩まずお気軽にご相談ください。
※タオルで作成したタオル帽子など無料で提供しています。どうぞご利用ください。
一つ一つ命のために〜がん医療の現場から〜
中頭病院の集学的がん治療の取り組みをご紹介