形成外科は、特定の身体臓器を対象とする診療科ではなく、部位に限定されない体のあらゆる「かたちの異常」の治療を目的として発展した外科の一分野です。 「かたちの異常」は、ケガや、生まれつきの異常、できもの(腫瘍)やその切除後など、さまざまな原因で起こります。
かたちの治療を目的とした技術(縫合法、植皮法、皮弁形成術、組織移植術、レーザー治療、微小血管外科など)が開発され、それらの技術を応用することで、現在ではかたちの変形だけではなく、治りにくいキズ、老化にともなう症状、美容治療など、さまざまな領域をカバーしています。
中頭病院では、平成16年に形成外科が診療科として設立されました。開設当時より、乳腺外科と密接に連携して、乳癌術後の乳房再建治療では常に最新の治療を提供しつづけています。 また、周辺の関連病院、クリニックとも連携し、難しい変形に対する治療も提供できる、地域中核病院としての機能を担っています。 救急医療においても、顔面骨骨折や、血管・神経損傷の修復、全身熱傷など、救命救急としての側面も持っています。現在、常勤医師および、非常勤の大学医師数名で診療を行っており、形成外科におけるあらゆる対象疾患に対応できる体制を整えています。
対象疾患は多岐に渡ります。先天異常は唇裂・口蓋裂を始めとし、耳の変形、多合指、臍ヘルニアなど体幹の異常などです。後天的なものとしては、腫瘍切除にともなう変形、熱傷や外傷、それらによる瘢痕やひきつれ、さらにはシミなどを含めた美容医療も対象としています。腫瘍切除後の再建は、乳房再建や頭頚部再建などがあります。外傷では特に、顔面骨骨折を含む顔面外傷や、手の外傷を多く扱っています。その他にも、褥瘡、難治性潰瘍も扱います。
よく、「かたちの治療に健康保険は適用されますか?」という質問をいただきます。 形成外科におけるほとんどの治療は、健康保険が適用されます。 かたちの異常は、同時に機能的な障害を引き起こすこともありますし、気持ちも暗くなって生活の質(Quality of Life)も低下してしまいます。そのため、健康保険が適用される治療法が、医療制度でしっかり定められています。いっぽう、美容を唯一の目的とする治療は自費負担となり、当院でも美容治療を提供しています。