診療科のご案内
何の前ぶれもなく、肺の一部が突然破れて、胸の中に漏れた空気がたまり、体外への逃げ場がないため、肺がつぶれてしまう病気です。一言でいうと「肺のパンク」です。原因によって、いくつかの気胸に分類されています。
① 肺尖部胸膜直下に好発するブレブやブラと呼ばれる嚢胞が破裂することで発症します。
※ ブレブが多く破裂します。 → やブレブ(破れブ)
② 喫煙との関連が指摘されています。
③ 背が高く、痩せ型、20前後の男性に多いのが特徴です。
④ 緊張性気胸:自然気胸や胸部に引き続き起こることがあります。
→ 呼吸困難、頻脈・低血圧、チアノーゼ、気管・心臓の変位。
→ 緊急胸腔ドレナージが必要となります。
⑤ 台風など気圧との関係もある可能性があります。
続発性気胸とは、種々の基礎疾患に伴う気胸です。原因となる疾患には以下のものがあります。
① 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
② 肺線維症
③ 肺炎
④ 気管支喘息
⑤ 肺癌
⑥ 肺結核
⑦ サルコイドーシス
⑧ HIVに発症するニューモシスチス肺炎
⑨ 月経随伴性気胸
⑩ 肺リンパ脈管筋腫症(LAM)など
① 交通外傷 → ハンドルなどの鈍的外傷
② 胸部刺創 → 刃物による刺創
③ 胸部よく創 → 鋭利なものが刺さる
④ 転落 → 胸部打撲
⑤ 転倒 → 胸部打撲
⑥ 圧迫 → 車などによる圧迫
医学性気胸とは、医療行為に伴う偶発的なアクシデントで起こります。
① 医学的な検査や処置
→ 中心静脈カテーテル、気管支鏡検査、経皮的肺生検、ペースメーカー挿入時など
② 鍼治療 → 直接針が肺に刺さる場合、遺残によるもの
③ その他
子宮内膜組織が横隔膜や臓側胸膜に迷入し、生理のたびに、この部位が脱落し、自然気胸を起こすことがあります。右側に好発します。女性ホルモンが関与しているため、外科的治療、ホルモン療法が行われます(※女性の気胸では、生理に関しての情報が重要となります)。
月経随伴性気胸の胸腔内所見(上画像)
気胸となり、胸腔鏡で観察すると横隔膜上に小孔を多数認め、肝臓が透見できました。本症例は病変部位の切除を行い横隔膜を縫合し、術後は婦人科でホルモン療法をおこないました。
肺のつぶれの程度を確認します。正面像で吸気、呼気の撮影を行ないます。
ブラ、ブレブの有無を確認します。ドレーン挿入・留置後、肺の膨張を確認後に撮影します。肺尖部から気管分岐部までは2mmスライスで撮ります(HRCT)。気胸の好発部位は肺尖部(肺の上方)と下葉の上方(S6)です。
緊急処置として胸壁から直接胸腔内に注射針を刺し吸引します。簡便ですが、根本的治療ではありません。
2.持続吸引療法
胸腔内にドレーンを留置し、陰圧をかけて吸引する方法と自発呼吸を利用して吸引する方法があります。通常、呼吸器内科、一般内科で行われます。根本的治療ではないので、その後、手術目的で呼吸器外科へ紹介となることがあります。
3.胸腔内癒着療法
癒着剤を胸腔内に注入し肺胸膜と壁側癒着させる方法です。呼吸機能が悪く、全身麻酔がかけられない高リスクの患者さんが対象となります。癒着剤としてピシパニール(ok-432)、ミノマイシン、タルクなどがあります。
4.胸腔鏡下手術
低侵襲的方法。最も良く行われる方法です。3つの小孔で可能であり、再発時の再手術でも可能です。
5.開胸手術
以前は、腋窩開胸で行われていました(最近はほとんどおこなわれません)。
6.治療の流れ
気胸 → 胸部レントゲン写真 → 気胸(+) →
→ ドレナージ(+) → CT → ブラ(ー) → 保存治療?
(→ ドレナージ(ー) → CT → ブラ(+) → 手術)