中頭病院からのお知らせ
多目的コホート研究における病理組織の収集と腫瘍の分子情報を用いたがんの原因究明に関する研究
1.研究の対象
多目的コホート研究の対象地域である岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾(以上1990年開始のコホートⅠ)、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田(以上1993年開始のコホートⅡ)の11保健所管内に、研究開始時点で居住していた、地域住民約14万人のうち、生活習慣に関するアンケート調査票への回答が得られた約11万人の方。ただし、本研究の追跡開始後に判明した不適格者(外国人、対象地域外に居住、年齢不適判明者)、本研究での資料の利用を拒否した方は対象から除外されます。
2.研究目的・方法
◇ 研究の概要:
多目的コホート研究は、生活習慣とがんなどとの関連を明らかにするための大規模コホート研究であり、アンケートによる生活習慣の把握の後、がんの発生について、20年以上の追跡調査を行ってきました。本研究は、多目的コホート研究実施地域において、生活習慣に関するアンケートに答えた研究開始時点で40から69歳であった研究参加者約11万人を対象とします。生活習慣、がん罹患については多目的コホート研究ですでに収集されている情報を用います。がんの病理標本については、多目的コホート研究のがん罹患情報に基づき、共同研究機関から提供を受けます。がんを分子生物学的解析によりサブタイプに分類し、リスク要因とがんとの関連がサブタイプにより異なるかを検討します。また、リスク・予防要因とがんの予後との関連が、がんのサブタイプで異なるかも検討します。
◇ 研究の意義:
がんをサブタイプに分類することにより、サブタイプごとのリスク要因を検討できます。たとえば、喫煙者で特定の遺伝子突然変異・エピジェネティック異常のある胃がんサブタイプが多ければ、喫煙から胃発がんにいたるメカニズムについて考察できます。
大規模なコホート研究で、がんを分子生物学的な解析によりサブタイプに分けてリスク要因との関連を検討するのは、日本において初めての試みであり、がん発生のメカニズムを明らかにし、日本人のがん予防につながるエビデンスを提示できる可能性があります。
◇ 研究の目的:
多目的コホート研究参加者において、1)生活習慣などのリスク・予防要因とがんとの関連、ならびに、2)リスク・予防要因とがんの予後との関連が、がんのサブタイプで異なるかを検討します。
◇ 研究の方法:
<研究デザイン>コホート研究
◇ 研究の実施期間:研究許可日(2015年4月20日)から10年間
3.研究に用いる試料・情報の種類
<本研究に利用される多目的コホート研究の資料>
<病理標本の収集、解析>
4.外部への試料・情報の提供・公表
◇ 試料・情報の提供
国立がん研究センターに試料・情報等を提供する場合は、書留・配達記録など、受取人の手元に確実に届くことを保証する仕組みを用います。電子媒体では、暗号化・パスワード管理など、第3者がファイルを容易に閲覧できない仕組みを施します。
◇ 情報の公表
研究の成果は、論文および学会等で発表します。
◇個人情報保護に関する配慮
病理標本は匿名化(とくめいか)した番号で管理されており、個人を特定できる情報等は対応表を用いてのみ連結可能な状態で管理されています。
対応表は、当院の研究責任者が保管・管理します。
5.研究組織
中頭病院 院長 下地 勉
国立がん研究センター 津金 昌一郎 (研究代表者)
6.問い合わせ先
本研究に関するご質問等がありましたら、下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報、知的財産の保護に支障のない範囲で、研究計画書、および関連資料を閲覧することが可能です。また、試料・情報が、当該研究に用いられることについて、対象者の方、もしくは対象者の代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。
この場合も対象者の方に不利益が生じることはありません。
◇ 照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先
沖縄市字登川610番地
電話番号098-939-1300(代)内線8391
治験管理室 崎原 美生
◇ 研究責任者
病院長 下地 勉
◇ 研究代表者
国立がん研究センター 社会と健康研究センター
センター長 津金 昌一郎