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血圧コントロール状況の検証

血圧コントロール状況を検証します
〜来通院患者の血圧データの集団分析にご理解を〜

日本人の約4300万人が該当する最も多い生活習慣病である高血圧は、動脈硬化を引き起こし、脳卒中、心筋梗塞および心不全などの脳心血管病発症の最大のリスク因子となっています。実際に、年間約10万人の国民が高血圧に関連した脳心血管病により死亡しています。さらに、高血圧は、慢性腎臓病、末期腎不全の発症リスクを上昇させます。沖縄における疫学研究では、収縮期血圧(上の血圧)が10 mmHg上昇ごとに、末期腎不全のリスクが約30%上昇することが報告されています。また、中年期の高血圧は高齢期の日常生活動作(ADL) の低下および血管性認知症の発症のリスクを上昇させることも報告されています。よって、高血圧を適切に管理 することは、健康長寿の延伸に直結することになります。しかし、高血圧は治療の進歩と高血圧治療ガイドラインが普及しているにもかかわらず、多くの高血圧患者が治療を受けていない、治療を受けていても降圧目標を達 成していない状況に陥っています。これは、高血圧パラドックスと呼ばれ、日常診療の大きな課題のひとつとなっています。我が国の高血圧パラドックスの現状をみると、高血圧患者数の3100万人が血圧管理不良と推計されており、このうち、高血圧を認識していない者は1400万人、認識しているものの未治療者は450万人、治療を受けているものの管理不良者は1250万人となっています。一方、我が国の高齢化とともに脳卒中や心不全の重要なリスク因子である心房細動が増加しています。心房細動と高血圧の合併は脳心血管病の発症のリスクをより高めることから、心房細動患者における血圧管理の向上も重要です。しかし、心房細動患者の血圧管理状況に関する我が国のエビデンスは十分ではありません。
そこで、今回、高血圧あるいは心房細動を有する患者を対象とし、診察室血圧の管理状況、一受診機会における診察室血圧の測定回数の実態について調査を行い、高血圧治療ガイドラインの降圧目標の達成状況と血圧管理に関連する因子について検討することになりました。なお、本調査の実施機関は敬愛会中頭病院およびちばなクリニックで、調査の代表者は同クリニック血液浄化センター長の小田口尚幸です。
高血圧患者および心房細動患者の診察室血圧の管理状況、一受診機会における診察室血圧の測定回数の 実態について調査を行い、高血圧治療ガイドラインの降圧目標の達成状況と血圧管理に影響を与えている因子を明らかにすることは、高血圧患者および心房細動患者の血圧管理の向上に寄与する情報を提供することが可能となります。ご理解をお願いいたします。
調査の対象者は敬愛会中頭病院およびちばなクリニック外来定期通院中の高血圧あるいは心房細動を有する患者です。調査のデザインは既存の日常診療データを活用した後ろ向きの観察研究です。敬愛会疾病管理データベース、レセプトデータベースおよび心電図データベースを用いて、2018年6月1日~同年12月31日の期間に高血圧あるいは心房細動にて外来通院中の患者とその背景因子(年齢、性、身長、体重、BMI、合併症) を抽出します。抽出された患者において、2019年1月1日~6月30日の期間に電子カルテに記載されている診察室血圧および診察室脈拍数(直近3回測定分)と受診一機会における診察室血圧および診察室脈拍数の測定回数を後ろ向きに収集します。さらに同期間における服薬内容、臨床検査データ(PT-INR、eGFR、 NT-pro-BNP、BNP、BS、HbA1c(NGSP)、食塩摂取量)を後ろ向きに収集します。後ろ向きの観察研究のため、本調査で新たに投薬、質問票調査、身体測定、血液尿検査の測定等は実施しません。このため調査参加によ る新たな費用負担、危険性、副作用などは発生しません。
個人が特定できる部分を削除するため個々のデータが誰のものか全くわからない状態となり、対象者のプライバシーが侵害されることはなく、また「個人情報の保護に関する法律」ならびに「人を対象とした医学系研究に関する倫理指針」に抵触することもありません。なお、本調査は社会医療法人敬愛会の倫理委員会の審査を受け、敬愛会の長の承認を受けて実施されます。
対象者の自由意志により、不参加の申し出があった場合は、対象者から除外いたします。その際は令和1年12月末日までに研究事務局にお申し出ください。研究計画書及び研究の方法に関する資料の入手・閲覧、個人情報の取り扱い方法および研究対象等及び関係者からの相談への対応に関する情報についてお問い合わせは下記の連絡先にて対応いたします。

研究事務局: 社会医療法人敬愛会ちばなクリニック
連絡先: 〒904-2143 沖縄市知花6丁目25番5号
電話: 098-939-1301

令和2年1月8日 社会医療法人敬愛会ちばなクリニック 血液浄化センター 小田口 尚幸