先端内視鏡診断・治療
内視鏡による低侵襲治療
内視鏡は細長い管状の医療機器で先端にはライトやカメラ、処置具を内臓しています。
口や肛門などから体内へ挿入しカメラから映し出されたモニターを見ながら病変を確認したり、組織を採取し診断します。
早期のがんやポリープなどは内視鏡を使った治療が可能で、開腹手術に比べて身体の負担が少なく患者さんに優しい低侵襲治療です。
「消化器内科」の
内視鏡診断と治療
診断
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狭帯域光観察(NBI:Narrow Band Imaging)
特定の波長の青色光を使用する内視鏡画像。青色光を組織に照射することで、血管や粘膜の微細な構造を視覚化することができ、特に血管パターンや病変の境界を評価するために使用されます。 -
構造色彩強調機能(TXI:Texture and Color Enhancement Imaging)
従来の内視鏡画像に対して、コントラストと色彩を調整し、観察対象の組織や病変をより鮮明に視覚化することができます。
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2小腸カプセル内視鏡・
バルーン内視鏡小腸は胃と大腸の間にあり、長さは5~7mもあるため従来のスコープでは小腸の一部しかみることができませんでした。カプセル内視鏡とバルーン内視鏡により、全小腸の観察が可能となりました。
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3高い空間解像度を誇る超音波内視鏡 (EUS) による胆膵スクリーニングと組織生検
胃カメラの先端に搭載された超音波装置で、画像診断が困難な小病変に対して施行します。超音波を使用し組織内部に渡って観察できるため、特に膵腫瘍の早期診断や手術適応を決めるうえで重要な検査です。従来の検査では発見が難しいとされる10mm以下の膵臓癌の早期発見が可能です。
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4胆道鏡 (SpyGlassDS)
高性能のカメラを備えた非常に細い内視鏡で、胆管や膵管の中を直接観察することで早期癌の診断が可能です。
治療
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1お腹を切らずに癌を剥離する
内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD)早期発見された食道がん、胃がん、大腸がんのうち、細胞の型 (分化度)、大きさ、深さの条件を満たせば、お腹を切らずに内視鏡で切除することができます。
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2胆道鏡 (SpyGlassDS) と電気水圧衝撃波 (EHL) を併用した総胆管結石の破砕術
従来は手術が必要であった巨大な総胆管結石を内視鏡で破砕・除去できるようになりました。
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EUS-BD (超音波内視鏡下胆道ドレナージ)
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EUS-PD (超音波内視鏡下膵管ドレナージ)
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「呼吸器内科」の
内視鏡診断と治療
肺がんを代表とする肺腫瘍の確定診断は、気管支内視鏡による肺内病変の生検検査が必要です。気管支鏡は消化器内視鏡とは異なり気管支内腔に突出した腫瘍を除いては、実際の肺内腫瘍を見ることはできませんが以下の検査では、高い確率で生検 (組織診断) が可能です。
- ガイドシース併用気管支内超音波断層法 (EBUS-GS)
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気管支鏡で直接見ることができない肺野の病変の生検を行う場合に使用します。病変内に到達している誘導気管支を選択してガイドシース (鞘 : さや) を病変内に挿入して固定します。
ガイドシースに細い超音波プローブを挿入してエコーで病変の位置を確認します。ガイドシースから鉗子を用いて適切な生検を何度でも行うことができます。またガイドシースが抹消の気管支に挿入されているため、生検時の出血コントロールがしやすい特徴があります。
- 超音波気管支鏡ガイド下生検 (EBUS-TBNA)
- 超音波気管支鏡 (特殊な気管支鏡) を用いて、気管・気管支の壁に接しているリンパ節をエコーで観察し、気管 (気管支) 壁を貫いてリンパ節に針を刺しリンパ節内の細胞や組織を吸引して検体を採取することができます。肺がん以外にサルコイドーシスや縦隔腫瘍などの診断にも応用しています。
実績
BS (気管支内視鏡検査) |
EBUS-TBNA | EBUS-GS | |
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2023年度 | 151 | 47 | 89 |
2022年度 | 85 | 34 | 85 |
2021年度 | 151 | 52 | 102 |
2020年度 | 162 | 37 | 140 |
2019年度 | 198 | 48 | 129 |
2018年度 | 280 | 33 | 111 |